【令和7年4月からの法改正】育児・介護休業法(育児関連)

【令和7年4月からの法改正】
育児・介護休業法(育児関連)

育児関連の法改正

令和7年(2025年)における育児関連の法改正は、以下の7点になります。

改正内容施行時期
1.子の看護休暇の見直し令和7年4月1日
2.所定外労働の制限の対象となる子の範囲の拡大
3.300人超の企業に育児休業取得状況の公表の義務付け
4.育児短時間勤務の代替措置の追加
5.在宅勤務等の措置を努力義務化
6.仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と配慮の義務付け令和7年10月1日
7.柔軟な働き方を実現するための措置の義務付け

1.子の看護休暇の見直し(令和7年4月1日~)

子の看護休暇について、令和7年(2025年)4月1日より以下の4点(名称、対象となる子の範囲、取得事由、労使協定の締結により除外できる労働者)について改正されます。

改正前改正後
名 称子の看護休暇子の看護等休暇
対象となる子の範囲小学校就学の始期に達するまで【延長】小学校3年生修了まで
(9歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある子)
取得事由病気・けが・予防接種・健康診断病気・けが・予防接種・健康診断
【追加】感染症に伴う学級閉鎖等、入園(入学)式、卒園式
労使協定の締結により
除外できる労働者
(1)雇用された期間が6か月未満
(2)週の所定労働日数が2日以下
(2)週の所定労働日数が2日以下 のみ
【削除】(1)は撤廃

2.所定外労働の制限の対象となる子の範囲の拡大(令和7年4月1日~)

現行法では、3歳に満たない子を養育する労働者は、請求すれば所定外労働の制限(残業免除)を受けることが可能となっていますが、令和7年(2025年)4月1日より所定外労働の制限の対象となる子について、小学校就学前の子まで対象が拡大されます。

改正前改正後
対象となる子の範囲3歳に満たない子小学校就学前の子

3.育児休業取得状況の公表の義務付け対象範囲の拡大(令和7年4月1日~)

現行法では、常時使用する労働者の数が1,000人超の企業に対し、毎年少なくとも1回、男性労働者の①育児休業等の取得割合、 または②育児休業等と育児目的休暇の取得割合を公表することが義務付けられていますが、令和7年(2025年)4月1日より労働者の数が300人超の企業に拡大されます。

改正前改正後
公表義務付け対象従業員数1,000人超の企業従業員数300人超の企業

4.育児短時間勤務の代替措置の追加(令和7年4月1日~)

育児短時間勤務(3歳に満たない子を養育する労働者に対する短時間勤務制度)について適用除外とした労働者に対して講じる代替措置に「在宅勤務等」が追加されます。

改正前改正後
代替措置①育児休業に関する制度に準ずる措置
②フレックスタイム制
③始業・終業時刻の繰上げ・繰下げ
④事業所内保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与
①~④および
【追加】⑤住居その他これに準ずるものとして労働契約又は労働協約、就業規則その他これらに準ずるもので定める場所における勤務

5.在宅勤務等の措置を努力義務化(令和7年4月1日~)

現在、小学校就学始期に達するまでの子を養育する労働者に関しては、以下の2つの措置を講じる努力義務が課されていますが、令和7年(2025年)4月1日より 「3歳に達するまでの子を養育する労働者」に対する措置として「在宅勤務等」が追加されます。

改正前改正後
子が小学校就学始期に達するまで①育児に関する目的で利用できる休暇制度を設けること
②子の年齢等に応じて、育児休業に関する制度、フレックスタイム制、時差出勤の制度等一定の措置のうち必要なものを講じること
①および②(変更なし)
子が3歳に達するまで【追加】在宅勤務等

6.仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取と配慮の義務付け(令和7年10月1日~)

現行法では、労働者が妊娠・出産等の申出をした場合は、育児休業に関する制度等について個別周知すること、および育児休業取得の意向確認が義務付けられていますが、令和7年(2025年)10月1日からはこれらに加えて、仕事と育児の両立にかかる就業条件に関する個別の意向の聴取(個別聴取)および配慮を行うことが義務付けられます。

また、新たに3歳未満の子を養育する労働者に対して、柔軟な働き方を選択するための措置として,個別周知、意向確認、意向聴取、配慮を行うことが義務付けられました。

義務内容
改正前①育児休業に関する制度等について個別周知すること
②育児休業取得の意向確認
改正後①および②に加え
③妊娠・出産の申出時や子が3歳になる前に、労働者の仕事と育児の両立に関する個別の意向聴取・配慮を行うこと
(1)妊娠・出産等の申出時と子が3歳になる前の個別の意向聴取

事業主は、労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た時と、労働者の子が3歳になるまでの適切な時期に、子や各家庭の事情に応じた仕事と育児の両立に関する以下の事項について、労働者の意向を個別に聴取しなければなりません。

意向聴取の時期① 労働者が本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出たとき
② 労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間
(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)
聴取内容① 勤務時間帯(始業および終業の時刻)
② 勤務地(就業の場所)
③ 両立支援制度等の利用期間
④ 仕事と育児の両立に資する就業の条件(業務量、労働条件の見直し等)
意向聴取の方法①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ
(2)聴取した労働者の意向についての配慮

事業主は、(1)により聴取した労働者の仕事と育児の両立に関する意向について、自社の状況に応じて配慮 しなければなりません。

具体的な配慮の例①始業および終業の時刻にかかわる調整
②就業の場所にかかわる調整
③業務量の調整
④両立支援制度等の利用期間等の見直し
⑤労働条件の見直し
※注意事項

意向聴取の方法は、面談や書面の交付等により行う必要があります。
意向の配慮を行う際は、例えば勤務時間帯・勤務地にかかる配置、業務量の調整、両立支援制度の利用期間等の見直し、 労働条件の見直し等について、自社の状況に応じて、労働者の意向に配慮する必要があります。
上記の個別の意向の内容を理由として、労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。

7.柔軟な働き方を実現するための措置の義務付け(令和7年10月1日~)

令和7年10月1日より、3歳以上小学校就学前の子を養育する労働者に対し、選択できる複数の措置を講じることが事業主に新たに義務付けられます。

事業主に義務付けられる措置の選択肢

本制度では、以下の措置のうち2以上の措置を講じなければならないこととされています。

事業主に義務付けられる措置の選択肢始業時刻変更等の措置
在宅勤務等の措置(10日/月)
育児短時間勤務(原則1日6時間)
新たな休暇の付与(子の看護休暇、年次有給休暇とは別に付与されるもの。10日/年)
保育施設の設置運営その他これに準ずる便宜の供与(ベビーシッターの手配および費用負担等)
労働者代表等からの意見聴取

本制度の措置を選択し、講じようとするときは、あらかじめ労働者の過半数で組織する労働組合がある場合はその労働組合、 そのような労働組合がない場合においては、労働者の過半数を代表する者から意見を聴かなければいけません。

労使協定で対象外とすることができる労働者

本制度の措置は、労使協定を締結することにより、以下の労働者を制度利用の対象外とすることができます。

労使協定で対象外とすることができる労働者事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たない労働者
措置を講じないことについて合理的な理由があると認められる労働者として省令で定めるもの
業務の性質または業務の実施体制に照らして、1日未満の単位で休暇を取得することが困難と認められる業務に従事する労働者
制度の個別周知・意向確認および意向聴取・配慮

労働者が上記いずれかの制度を選択するか判断できるよう、事業主は3歳に満たない子を養育する労働者に対して、省令で定める期間内に、本制度において講じた措置について、制度の内容を個別周知するとともに、措置の利用についても意向確認することが義務付けられています。

意向聴取の時期労働者の子が3歳の誕生日の1か月前までの1年間
(1歳11か月に達する日の翌々日から2歳11か月に達する日の翌日まで)
聴取内容① 事業主が選択した対象措置(2つ以上)の内容
② 対象措置の申出先(例:人事部など)
③ 所定外労働(残業免除)・時間外労働・深夜業の制限に関する制度
意向聴取の方法①面談 ②書面交付 ③FAX ④電子メール等 のいずれか
注:①はオンライン面談も可能。③④は労働者が希望した場合のみ
不利益取り扱いの禁止

事業主は、労働者が本制度にかかる措置の申出をしたこと、もしくは措置が講じられたこと、意向聴取で確認した内容を理由として、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

【参考資料等】
・育児・介護休業法 改正ポイントのご案内(厚生労働省 パンフレット)
・育児・介護休業法、次世代育成支援対策推進法の2024(令和6)年改正ポイント(厚生労働省 特設サイト)
・そのときのために、知っておこう。育児休業制度(厚生労働省 パンフレット)