【令和7年4月からの法改正】雇用保険法(1)出生後休業支援給付金、育児時短就業給付金の創設
【令和7年4月からの法改正】
雇用保険法(1)
雇用保険法に関する改正
昨年6月12日に公布された「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」により雇用保険法が改正され、夫婦ともに育児休業等をする場合や、育児短時間勤務をする場合の新たな給付が創設されます。
改正内容 | 施行時期 |
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出生後休業支援給付金の創設 | 令和7年4月1日 |
育児時短就業給付金の創設 |
育児休業等に関する給付体系の変更
今回の改正では、「出生後休業支援給付」および「育児時短就業給付」が創設され、既存の育児休業給付とあわせて「育児休業等給付」になります。

【参考資料】
・育児休業等給付の内容と支給申請手続(厚生労働省・都道府県労働局・公共職業安定所 パンフレット)
・育児休業等給付について(厚生労働省HP)
出生後休業支援給付金の創設
夫婦ともに育児休業を取得した際に、既存の育児休業給付とあわせて受け取ることができる「出生後休業支援給付金」が新たに創設され、令和7年(2025年)4月1日より施行されます。
1.受給要件
出生後休業支援給付金を受給する要件は、以下の3つです。
出生後休業支援給付金 受給要件 | ①原則として休業(2回以上休業を取得する場合は、初回の休業)開始前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あること |
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②被保険者が対象期間内に取得した出生後休業の日数が通算して14日以上であること | |
③被保険者の配偶者が子の出生の日から起算して8週間を経過する日の翌日までの期間内にした出生後休業が14日以上あること |
なお、配偶者がいない場合、配偶者が雇用保険の適用事業所に雇用される労働者ではない場合、または配偶者が産後休業をした場合と等については、 ③の要件は適用されず、①と②に該当すれば給付を受給することができます。
2.対象となる休業
出生後休業支援給付金の給付の対象となる休業は、育児休業または出生時育児休業等になります。
3.対象期間
出生後休業支援給付金の給付の対象となる期間は、被保険者が産後休業を取得したか否かにより、以下のとおりとされています。
ケース | 対象期間 |
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①産後休業を取得しなかったとき(主に男性) | 子の出生の日から起算して 8週間を経過する日の翌日までの期間 |
②産後休業を取得したとき(出産した女性) | 子の出生の日から起算して 16週間を経過する日の翌日までの期間 |
②については、労働基準法により、出産した女性は、原則として出産後8週間は産後休業を取得することとされているため、実質的に産後休業終了後の8週間が給付の対象期間となります。
4.受給できる期間
出生後休業支援給付金が支給される日数は28日が限度になります。なお、複数回の出生後休業を取得した場合は、それらの日数を合算して28日までが限度となります。
5.出生後休業支援給付金の額
出生後休業支援給付金の額は以下のとおりです。
出生後休業支援給付金の額 |
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休業開始時賃金日額×対象期間内の出生後休業の日数(上限28日)×13/100 |
育児休業給付金(180日まで)および出生時育児休業給付金の支給率は67%ですから、それらと併せて受給した場合、休業開始前のおよそ80%の金額を受け取れることになります。
6.支給申請
出生後休業支援給付金の手続きは、事業所を管轄するハローワークにて育児休業給付金または出生時育児休業給付金の手続きと併せて行います。これに伴い、育児休業給付金および出生時育児休業給付金の支給申請書が変更され、以下のとおりとなりました。
改正後の支給申請書 |
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①育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書 |
①育児休業給付受給資格確認票・(初回)出生時育児休業給付金/出生後休業支援給付金支給申請書 |
7.改正後の受給のイメージ
改正後は、既存の育児休業給付金または出生時育児休業給付金に上乗せする形で、出生後休業支援給付金が受け取れることになります。
【参考資料】
・2025年4月から「出生後休業支援給付金」を創設します(厚生労働省 リーフレット)
育児時短就業給付金の創設
出生後休業支援給付金に加え、2歳未満の子を養育し、育児時短就業(育児短時間勤務)をしている被保険者に対する新たな給付として、育児時短就業給付金が創設されました。施行は、令和7年(2025年)4月1日からになります。
1.受給要件
育児時短就業給付金は、2紗未満の子を養育する被保険者が時短就業をしている場合であって、以下のいずれかに該当する場合に支給されます。
育児時短就業給付金受給要件 | ①原則として育児時短就業(2回以上育児時短就業をする場合は、初回の育児時短就業)開始日前2年間にみなし被保険者期間が12か月以上あること |
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②育児休業給付金または出生時育児休業給付金の支給を受けていた場合であって、それぞれの給付金にかかる育児休業または出生時育児休業終了後に引き続き育児時短就業をしたこと |
2.受給できる期間
育児時短就業給付金は、被保険者が初日と末日を明らかにして申し出た期間に基づいて育児時短就業をした場合に支給されますが、以下の事由に該当することとなった場合には、該当日後については、支給されません。
育児時短就業給付金不支給要件 | ①育児時短就業の申出にかかる子が2歳に達したとき |
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②新たな子に関する産前産後休業、育児休業または介護休業が始まったこと | |
③新たな2歳未満の子について育児時短就業が始まったこと | |
④子の死亡その他の被保険者が育児時短就業の申出にかかる子を養育しないこととなった事由として公共職業安定所長が認める事由が生じたこと |
3.支給対象月
育児時短就業給付金は、高年齢雇用継続基本給付金と同様、「支給対象月」ごとに算定されます。ここでいう支給対象月とは、育児時短就業を開始した日の属する月から終了した日の属する月までの期間内にある月をいいます。なお、育児時短就業給付金を実際に受給できるのは、その月の初日から末日まで引き続いて被保険者であり、介護休業給付金、育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金にかかわる休業をしなかった月に限られます。
4.育児時短就業給付金の額
育児時短就業給付金の額は、各支給対象月に支払われた賃金額により、以下のとおりとなります。
支給される賃金額 | 育児時短就業給付金の額 |
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賃金額が「育児時短就業開始時賃金額×30」の 90/100を下回る場合 | 支給対象月に支払われた賃金額×10/100 |
賃金額が「育児時短就業開始時賃金額×30」の 90/100以上100/100未満の場合 | 支給対象月に支払われた賃金額×10/100から一定の割合で逓減するように省令で定める率 |
なお、上記で算定した額に支給対象月に支払われた賃金額を加えた額が支給限度額を超えるときは、支給限度額からその賃金額を減じた額とされます。
※育児時短就業開始時賃金日額とは、育児時短就業を開始した日の前日を離職の日とみなして算定した賃金日額に相当する額のことをいいます。ただし、育児休業給付金にかかる育児休業または出生時育児休業給付金にかかる出生時育児休業終了後に引き続き時短勤務をする場合は、それぞれの給付金の休業開始時賃金日額が用いられます。
5.支給申請
育児時短就業給付金を初めて受けるときは、「育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)育児時短就業給付金支給申請書」を、支給対象月の初日から起算して4か月以内に、事業所を管轄するハローワークに提出する必要があります。なお、申請の際は以下の書類も併せて提出致します。
育児時短就業給付金 添付書類 | ①雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明票・所定労働時間短縮開始時賃金証明票 |
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②母子健康手帳 | |
③労働者名簿 | |
④賃金台帳 など |