健康保険(現金給付)の種類と内容

健康保険(現金給付)の種類

現金給付とは、各給付の要件に該当した場合に、保険者(協会けんぽまたは健康保険組合)に支給申請を行うことにより、給付を受けることができる制度のことで、健康保険には主に以下の現金給付があります。

状 況給付名
医療費などを立替払いしたとき療養費
医療費が高額になったとき高額療養費
1年間に支払った医療費と介護費の合計が高額になったとき高額介護合算療養費
医師の指示で移送されたとき移送費
従業員が業務外の傷病で4日以上仕事を休んだとき傷病手当金
従業員が出産のため休業したとき出産手当金
従業員またはご家族が出産したとき出産育児一時金
従業員またはそのご家族が業務外の事由で亡くなられたとき埋葬料(費)

健康保険(現金給付)の内容

1.療養費

やむを得ない事情で保険診療が受けられず、医療費を立替えた場合に、後日協会けんぽ(または健康保険組合)へ申請することにより、自己負担3割(1~2割)分を差引いた医療費7割(8~9割)分の払い戻しを受けることができます。

【療養費の対象となるケース】
  • やむを得ず保険医療機関でない病院などで診療を受けたとき
  • 資格取得届の手続き中で保険証を提示できず、自費で診療を受けたとき
  • コルセットなどの治療用装具を医師の指示で作成し、装着したとき
  • 生血液の輸血を受けたとき
  • 臍帯血を搬送したとき
  • 海外の医療機関で診療を受けたとき
    (治療を目的に海外に出向いた場合は対象外となります。) 等

2.高額療養費

医療機関などで支払った医療費の自己負担額が、自己負担限度額(1か月に被保険者等が窓口で負担する医療費の上限額)を超えた場合は、被保険者が申請をすることにより、自己負担限度額を超えた分の払い戻しを受けることができます。

自己負担限度額(70歳未満の方)
被保険者の所得区分自己負担限度額(計算式)多数回該当
標準報酬月額83万円以上252,600円+(総医療費-842,000円)×1%140,100 円
53~79万円167,400 円+(総医療費-558,000円)×1%93,000 円
28~50万円80,100 円+(総医療費-267,000円)×1%44,400 円
26万円以下57,600円44,400円
低所得者※35,400円24,600円

※被保険者が住民税の非課税者で、区分(ア・イ)に該当しない方

自己負担限度額(70歳以上75歳未満の方)
被保険者の所得区分自己負担限度額(計算式)多数回該当
個人ごと(通院)世帯ごと(入院を含む)
現役並み所得標準報酬月額83万円以上252,600円+(総医療費-842,000円)×1%140,100 円
53~79万円167,400 円+(総医療費-558,000円)×1%93,000 円
28~50万円80,100 円+(総医療費-267,000円)×1%44,400 円
一般(標準報酬月額26万円以下)18,000 円
(年間上限14.4 万円)
57,600円44,400円
低所得者Ⅱ※18,000円24,600円
低所得者Ⅰ※215,000円

※1被保険者が住民税の非課税者で、現役並み所得者に該当しない方
※2被保険者とその扶養家族すべての方の収入から必要経費・控除額を除いた後の所得がなく、現役並み所得者に該当しない方

3.高額介護合算療養費

1年間(毎年8月〜翌年7月)に支払った医療保険と介護保険の自己負担額の合計が、年間の自己負担限度額(世帯の所得状況に応じた基準額)を超えた場合は、被保険者が申請をすることにより、その超えた分の払い戻しを受けることができます。

70歳未満の方の基準額

70歳未満の方の場合は、受診者別に算出された自己負担額(1ヵ月)が21,000円以上のものを合算することができます。

所得区分基準額
区分ア(標準報酬月額83万円以上の方)212万円
区分イ(標準報酬月額53万~79万円の方)141万円
区分ウ(標準報酬月額28万~50万円の方)67万円
区分エ(標準報酬月額26万円以下の方)60万円
区分オ 低所得者(被保険者が市区町村民税の非課税者等)34万円
70歳以上74歳未満の方の基準額
所得区分基準額
現役並みⅢ(標準報酬月額83万円以上で高齢受給者証の負担割合が3割の方)212万円
現役並みⅡ(標準報酬月額53万~79万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)141万円
現役並みⅠ(標準報酬月額28万~50万円で高齢受給者証の負担割合が3割の方)67万円
一般(現役並み所得者および低所得者以外の方)56万円
低所得Ⅱ(被保険者が市区町村民税の非課税者等である場合)31万円
低所得Ⅰ(被保険者とその扶養家族全ての方の所得がない場合)19万円

4.移送費

病気やけがで移動が困難な患者が、医師の指示で移送された場合は、移送に掛かった費用が健康保険から支給されます。なお、移送費の額は、最も経済的な通常の経路および方法により移送された場合の旅費に基づいて算定されます。

【移送費の給付要件】
  1. 移送先で行われる療養が保険診療として適切であること
  2. 療養の原因である病気やけがにより、歩行することが著しく困難であること
  3. 緊急その他で、やむを得ない事由であること

5.傷病手当金

私傷病で休業した従業員とその家族の生活を保障する給付制度で、健康保険の被保険者である従業員が業務外の傷病により4日以上仕事を休み、その間給与を受けられない場合に支給されます。

【傷病手当金の支給要件】
  1. 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
  2. 仕事に就くことができないこと
  3. 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
  4. 休業した期間について給与の支払いがないこと
傷病手当金の支給期間

傷病手当金の支給期間は、支給を開始した日から通算して1年6ヵ月です。

傷病手当金の支給額
1日あたりの支給額「直近1年間の標準報酬月額※を平均した額」 × 1/30 × 2/3
総支給額「直近1年間の標準報酬月額を平均した額×1/30」 × 2/3 × 支給日数

6.出産手当金

産休を取得した女性従業員の所得補償制度で、健康保険の被保険者である従業員が出産のため仕事を休み、その間給与を受けられないときに支給されます。

【出産手当金の支給要件】
  1. 出産のため仕事を休んでいること
  2. 休業した期間について給与の支払いがないこと
出産手当金の支給期間
出産手当金
支給期間
 (産前休業) 産前42日+α ※多胎の場合は98日
 (産後休業) 産後56日

※出産が出産予定日より遅れた場合は、予定日から出産日の期間は産前休業に含まれます。

出産手当金の支給額
1日あたりの支給額「直近1年間の標準報酬月額※を平均した額」 × 1/30 × 2/3
総支給額「直近1年間の標準報酬月額を平均した額×1/30」 × 2/3 × 支給日数

7.出産育児一時金

出産に関する費用の負担軽減を目的とした給付制度で、健康保険の被保険者またはその被扶養者が出産をした場合に、1児につき50万円(場合によっては48.8万円)が一時金として支給されます。

区 分支給額
産科医療補償制度※加入機関で在胎週数22週以降の出産1児につき50万円
産科医療補償制度加入機関で在胎週数22週に達しなかった出産1児につき48.8万円
産科医療補償制度未加入の機関で出産

※医療機関等が加入する制度で、加入機関で出産され、万一、分娩時に何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、赤ちゃんとご家族の経済的負担を補償するものです。

直接支払制度をご利用される場合

被保険者本人が出産する医療機関等で直接支払制度の利用申請を行います。なお、出産費用が出産育児一時金の額を下回る場合は、別途協会けんぽ(または健康保険組)に対し、差額の支給申請を行う必要があります。

直接支払制度をご利用されない場合

いったん医療機関で出産費用を全額お支払いいただき、後日協会けんぽ(または健康保険組合)に対し、出産育児一時金の支給申請を行います。

直接支払制度とは?

出産育児一時金を出産に掛かる費用に充てることができるよう、協会けんぽ(または健康保険組合)から医療機関等に直接支払う仕組みのことを言います。

したがって、被保険者がこの直接支払制度をご利用される場合、窓口でのご負担は出産育児一時金を超えた額のみとなり、高額な出産費用を負担する必要がなくなります。

8.埋葬料(費)

葬儀費用の経済的負担を軽減することを目的とした給付金で、健康保険の被保険者または被扶養者が、業務外の事由で亡くなられたときに支給されます。

【埋葬料(費)の支給要件】
  1. 業務外の事由により被保険者または被扶養者が亡くなられたこと
  2. 亡くなられた方の葬儀が行われたこと
被保険者が亡くなられたとき
申請者支給額
被保険者により生計を維持されていた方埋葬料50,000円
被保険者と生計維持関係にない「埋葬を行った方」50,000円の範囲内で実際に埋葬に要した費用
被扶養者が亡くなられたとき
申請者支給額
被保険者が申請家族埋葬費50,000円

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