高年齢者雇用確保措置の種類と内容
- 0.1. 高年齢者雇用確保措置の概要
- 0.1.1. 高年齢者雇用確保措置とは?
- 0.1.2. 高年齢者雇用確保措置の種類
- 0.1.3. 継続雇用制度とは?
- 0.1.4. 高年齢者雇用確保措置の導入割合
- 0.1.5. 高年齢者雇用確保措置の導入フロー
- 0.2. 高年齢者雇用確保措置の導入のステップ
- 0.2.1. 現状把握と課題整理
- 0.2.2. 措置の選択と制度設計
- 0.2.3. 労使協議
- 0.2.4. 就業規則等の改定
- 0.2.5. 周知と運用開始
- 0.3. 各措置の対応事項と注意点
- 0.3.1. 1.定年制の廃止
- 0.3.2. 2.65歳までの定年引き上げ
- 0.3.3. 3.65歳までの継続雇用制度の導入
- 0.4. 関連ページ
- 0.4.1. 高齢従業員を再雇用した場合
- 0.4.2. 従業員が60歳になったとき
- 0.4.3. 従業員の給与が60歳時点より低下する場合
高年齢者雇用確保措置の概要
高年齢者雇用確保措置とは?
事業主が労働者の「65歳までの安定した雇用」を確保するために取る措置のことで、高年齢者雇用安定法9条により事業主に義務付けられています。
高年齢者雇用確保措置の種類
高年齢者雇用確保措置には、「定年制の廃止」「65歳までの定年引き上げ」「65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入」の3つがあり、高年齢者雇用安定法では事業主に対し、いずれかの措置を講じることを義務付けています(高年齢者雇用安定法第9条)。
65歳までの雇用確保措置 (高年齢者雇用安定法第9条)
定年を65歳未満に定めている事業主は、以下のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じなければなりません。
- 定年制の廃止
- 65歳までの定年引き上げ
- 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
※継続雇用制度の適用者は原則として「希望者全員」です。
継続雇用制度とは?
高年齢者雇用確保措置の一つで、定年を迎えた従業員を、原則として希望者全員について、一定年齢(現在は少なくとも65歳、制度によっては70歳まで)まで引き続き雇用するための制度です。
継続雇用制度には、一度定年で退職し、あらためて雇用契約を結ぶ「再雇用制度」と、定年で退職扱いにせず、そのまま雇用を継続する「勤務延長制度」の2種類があります。
高年齢者雇用確保措置の導入割合
高年齢者雇用確保措置の導入割合は、「65歳までの継続雇用制度」の導入が約65%と圧倒的に多く、続いて「65歳までの定年引き上げ」が約30%となっています。「定年制の廃止」を選ぶ事業主は約4%と少数となっています。(令和7年度実施状況)
| 雇用確保措置 | 導入割合 |
|---|---|
| 定年制の廃止 | 3.9% |
| 65歳までの定年引き上げ | 31.0% |
| 65歳までの継続雇用制度の導入 | 65.1% |
高年齢者雇用確保措置の導入フロー
現在の自社の定年規定をご確認したうえで、以下の導入フローに従い高年齢者雇用確保措置を進めてください。

高年齢者雇用確保措置の導入のステップ
事業主が高年齢者雇用確保措置を導入するまでステップは、以下のとおりです。
現状把握と課題整理
- 定年年齢、再雇用の有無、賃金・退職金制度の確認
- 高年齢者の人数構成、職務、コストの把握
措置の選択と制度設計
- どの措置を選ぶかを経営と人事で検討
- 雇用形態、賃金水準、職務内容、評価方法の明確化
労使協議
- 労働組合または従業員代表と協議し合意を形成
就業規則等の改定
- 定年条項、継続雇用の対象・手続・更新条件などを明記
- 労働基準監督署へ就業規則変更届を提出
周知と運用開始
- 社内説明会や書面で従業員に周知
- 対象者への個別面談やキャリア面談を実施
各措置の対応事項と注意点
1.定年制の廃止
「定年制廃止」は、高年齢者雇用確保措置の中では、高齢者が最も安定して働ける制度である反面、事業主側の制度設計負担はかなり大きい措置といえます。事業主が、「定年制の廃止」を導入する場合は、以下の対応が必要になります。
定年制の廃止に伴う対応事項
- 就業規則の変更(定年規定の削除)
- 人事・賃金制度の再設計
- 退職および退職金制度の見直し
- 高年齢者の健康管理・安全配慮 など
定年制を廃止した場合の注意点
- 従業員が長く在籍するため、総人件費が増えやすい
- 管理職ポストが空きにくくなり、世代交代が遅れる
- 退職時期が読みにくいため、人員計画が立てづらい
2.65歳までの定年引き上げ
「65歳までの定年引き上げ」は、高齢者の雇用は安定するものの、事業主の人件費・人事制度への影響が大きい措置といえます。事業主が、「65歳までの定年引き上げ」を導入する場合は、以下の対応が必要になります。
定年引き上げに伴う対応事項
- 就業規則の変更(定年年齢を65歳に引き上げ)
- 雇用契約書(労働条件通知書)のまき直し
- 人事・賃金制度の見直し
- 退職金制度の見直し
- 高年齢者の健康管理・安全配慮 など
65歳までの定年引き上げの場合の注意点
- 60歳以降も正社員雇用が続くため、人件費(基本給、賞与、社会保険料)が増えやすい
- 管理職層が長く残ることで、若年層の昇進が停滞する
- 同一労働同一賃金への配慮が必要
3.65歳までの継続雇用制度の導入
継続雇用制度の導入は、「制度を導入しやすい」「人件費を調整しやすい」「柔軟に運用できる」という理由から、高年齢者雇用確保措置の中で最も導入されている制度です。事業主が、「65歳までの継続雇用制度の導入」を導入する場合は、以下の対応が必要になります。
継続雇用制度の導入に伴う対応事項
- 継続雇用制度の整備
- 就業規則の変更(継続雇用制度の規程作成)
- 労使協定の締結
- 再雇用後の労働条件設定
- 雇用契約の締結
- 高年齢者の健康管理・安全配慮 など
65歳までの継続雇用制度導入の場合の注意点
- 同一労働同一賃金への配慮が必要
- 給与の大幅な低下によるモチベーション低下
- 更新基準や雇止め等の有期契約管理
継続雇用制度の対象者を雇用する企業の範囲
継続雇用制度の対象者について、定年まで雇用した企業だけでなく、この企業の子会社や関連会社などの特殊関係事業主(図1の①から⑤)で雇用することも認められます。
継続雇用制度の対象者を特殊関係事業主で雇用する制度を導入する場合は、定年まで雇用した企業と特殊関係事業主との間で契約を締結する必要があります。

関連ページ
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【参考資料・HP】
・高年齢者雇用安定法ガイドブック(東京労働局)
・高年齢者雇用安定法Q&A(厚生労働省HP)
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