年次有給休暇の取得ルール
- 0.1. 年次有給休暇の取得の概要
- 0.1.1. 年次有給休暇の取得とは?
- 0.1.2. 年次有給休暇の取得単位
- 0.1.3. 年次有給休暇の取得ルール
- 0.2. 年次有給休暇の取得ルール
- 0.2.1. 1.自由利用の原則
- 0.2.2. 2.労働者の時季指定権
- 0.2.3. 3.使用者の時季変更権
- 0.2.4. 4.時間単位の年次有給休暇
- 0.2.5. 5.年次有給休暇の計画的付与
- 0.2.6. 6.年次有給休暇の取得義務
- 0.2.7. 7.年次有給休暇取得を理由とする不利益取扱いの禁止
- 0.3. 罰 則
- 0.4. お問い合わせ
- 0.4.1. 年次有給休暇に関するお問い合わせ先
- 0.5. 関連ページ
- 0.5.1. 年次有給休暇の付与ルール
- 0.5.2. 年次有給休暇の出勤率の計算方法
年次有給休暇の取得の概要
年次有給休暇の取得とは?
年次有給休暇の取得とは、労働基準法に基づき付与された有給休暇を、労働者が希望する日に請求すること、または実際に休むことをいいます。
年次有給休暇の取得するには、就業規則等で定められた申請方法に従い、取得したい日を指定して使用者(会社)に申し出ることで取得します。
年次有給休暇の取得単位
年次有給休暇の取得単位は、原則「1日」単位で取得をしますが、一定の要件を満たせば、半日単位や時間単位の取得も可能となります。
| 項 目 | 取得単位 | 条 件 |
|---|---|---|
| 原 則 | 1日 | 特になし |
| 例 外 | 半日 | 就業規則等での定めが必要 |
| 時間(年5日分) | 労使協定の締結が必要 |
年次有給休暇の取得ルール
労働者に年次有給休暇を取得させる際は、以下のルールに従って取得をさせなければいけません。
| 取得ルール | 内 容 |
|---|---|
| 自由利用の原則 | 年次有給休暇を労働者に自由に使わせなければいけないルール |
| 労働者の時季指定権 | 労働者が時季を指定して年次有給休暇を取得することできる権利 |
| 使用者の時季変更権 | 労働者からの年次有給休暇の時季指定に対して、時季を変更できる権利 |
| 時間単位の年次有給休暇 | 年5日分まで時間単位で年次有給休暇を取得できる制度 |
| 年次有給休暇の計画的付与 | 年次有給休暇の年5日を超える部分について、計画的に取得させるルール |
| 年次有給休暇の取得義務 | 基準日から1年以内に年次有給休暇を5日取得させる義務 |
| 不利益取扱いの禁止 | 年次有給休暇を取得したことによる不利益取り扱いを禁止したルール |
年次有給休暇の取得ルール
1.自由利用の原則
法定分の年次有給休暇をどのように利用するかは原則として労働者の自由であり、その理由を使用者(会社)に伝える必要はありません。
また使用者は、労働者が年次有給休暇を取得申請する際に、具体的な取得理由の記載がないことを理由に、有給休暇を認めないということはできません。
ただし、年次有給休暇の請求をしてきた労働者に不利益な取り扱いをせず、利用目的を記載することが任意によるものであれば違法とはなりません。
2.労働者の時季指定権
労働者の時季指定権とは、取得可能な年次有給休暇の日数の範囲内で、労働者が休みたい日(時季)を自ら指定して請求できる権利のことをいいます。
したがって、使用者は労働者が希望する時季に年次有給休暇を取得させなければいけません。ただし、事業の正常な運営を妨げる場合は、労働者の希望する時季を変更することができます。(使用者の時季変更権)。
| 労働者の時季指定権 | 内 容 |
|---|---|
| 原 則 | 労働者が指定した日(時季)に与える |
| 例 外 | 事業の正常な運営を妨げる場合は変更可能 |
3.使用者の時季変更権
使用者の時季変更権とは、労働者が指定した年次有給休暇の時季が「事業の正常な運営を妨げる場合」に、使用者が他の時季に変更して与えることができる権利のことをいいます。
ここでいう事業の正常な運営を妨げる場合とは、単に業務が多忙という理由や人手不足という理由だけでは認められず、請求を行った労働者の所属する事業場を基準として、個別的、具体的かつ客観的に判断されます。
使用者の時季変更権行使の判断基準
- 業務の重要性・緊急性
- 代替要員を確保できるか
- 他の社員で業務を分担できるか
- 会社が代替措置を十分検討したか
- 労働者が指定した休暇日を変更しなければならない程度の支障があるか
使用者の時季変更権が認められるケース
- 国家資格を持つ担当者が一人しかおらず、その人が休むと法律上業務ができなくなる場合
- 災害対応や大規模システム障害など緊急対応の責任者で、代替要員がいない場合
- 生産ラインの責任者が休むことで工場全体が停止し、代替できる人員もいない場合
- 決算日や棚卸日など、会社全体でどうしてもその担当者の出勤が必要で、他の社員では代替できない場合
- 同一部署で多数の労働者が同じ時期に年休を請求し、全員に与えると必要人員を確保できない場合 など
4.時間単位の年次有給休暇
時間単位の年次有給休暇(以下、時間単位年休)とは、本来1日単位で与えられる年次有給休暇のうち年5日分までを、時間単位(例:1時間ごと)で取得できる制度のことをいい、この制度を導入するには就業規則への記載と労使協定の締結が必要になります(届出不要)。
労使協定の締結事項
- 時間単位年休の対象者の範囲
- 時間単位で付与する年次有給休暇の日数(年5日以内、前年繰越分含む)
- 時間単位年休の1日分の時間数(1時間に満たない時間がある場合は、1時間に切上げ)
- 1時間以外の時間を単位とする場合の時間数(2時間や3時間など)
【参考資料】
・時間単位の年次有給休暇制度を導入しましょう!(厚生労働省パンフレット)
5.年次有給休暇の計画的付与
年次有給休暇の計画的付与とは、年次有給休暇の利用促進を目的として、労使協定に基づき、年次有給休暇のうち一定の日数(5日)を超える部分について、使用者(会社)が計画的に取得させることできる制度のことをいいます。
この年次有給休暇の計画的付与を行うには、労働者の過半数で組織する労働組合または労働組合がない場合は労働者の過半数を代表する者と、労使協定を締結する必要があります(届出不要)。
労使協定の締結事項
- 計画的付与の対象者(全従業員、正社員のみなど)
- 計画的付与の対象とする年休日数(労働者が自ら取得できる5日を除く範囲)
- 付与の方式(事業場一斉、班別交替、個人別付与など)
- 具体的な付与時季・期間(例:夏季・年末年始など)
- 対象者ごとの年休日数が異なる場合の取扱い
- 計画的付与日に欠勤・休職等があった場合の取扱い(必要に応じて)
- 時間単位年休と併用する場合の扱い(必要に応じて)
まだ年次有給休暇が付与されていない労働者や、比例付与により年次有給休暇の付与日数が少ない労働者がいる場合は、特別の休暇を与える、もしくは年次有給休暇の日数を増やす等の措置を講じることが望ましいとされています。
計画的付与の活用事例
- 夏期休暇や年末年始休暇への活用
年次有給休暇の計画的付与を活用することにより、8月のお盆休みや年末年始休暇を大型連休とすることができます。 - ブリッジホリデーとして活用
暦の関係で休日が飛び石となっている場合に、休日同士の橋渡しとして、年次有給休暇の計画的付与を活用することにより、大型連休とすることができます。 - 工場の設備点検日に活用
設備点検のため操業を停止する日に、年次有給休暇の計画的付与を活用することで、業務への影響を最小限に抑えることができます。 - 閑散期への集中的な付与に活用
繁忙期と閑散期が明確な業種では、閑散期に計画的付与が活用されています。
【参考資料】
・年次有給休暇の計画的付与制度(厚生労働省パンフレット)
6.年次有給休暇の取得義務
年次有給休暇の取得義務とは、使用者が、年10日以上の年次有給休暇が付与される全ての労働者に対し、基準日から1年以内に、少なくとも5日分の年次有給休暇を取得させなければいけない義務のことをいいます。
| 項 目 | 内 容 |
|---|---|
| 取得義務の対象者 | 年10日以上の年次有給休暇が付与される全労働者 |
| 取得期限・期間 | 有給休暇を付与した日(基準日)から1年間 |
| 取得義務の対象になる年次有給休暇 | ①労働者自ら時季指定した年次有給休暇 ②計画的付与による年次有給休暇 ③使用者が時季指定して取得させた年次有給休暇 |
| 取得義務の対象とならない年次有給休暇 | 時間単位取得した年次有給休暇 ただし、半日単位の年次有給休暇は2回で1日として扱われます |
| 労働者が既に5日取得している場合 | 使用者はそれ以上時季指定することはできません。 |
| 5日取得させなかった場合 | 30万円以下の罰金の可能性 |
年次有給休暇取得義務の留意事項
- 時季指定の方法
使用者は、時季指定に当たっては、労働者の意見を聴取しなければなりません。また、できる限り労働者の希望に沿った取得時季になるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければなりません。 - 時季指定を要しない場合
既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては、使用者による時季指定をする必要はなく、また、することもできません。 - 年次有給休暇管理簿の作成
使用者は、労働者ごとに年次有給休暇管理簿を作成し、3年間保存しなければなりません。 - 年次有給休暇の時季指定を実施する場合
使用者による年次有給休暇の時季指定を実施する場合は、時季指定の対象となる労働者の範囲及び時季指定の方法等について、就業規則に記載しなければなりません。
【参考資料】
・年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(厚生労働省パンフレット)
・年次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省リーフレット)
7.年次有給休暇取得を理由とする不利益取扱いの禁止
使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額など休暇の取得を抑制する不利益な取扱いをしてはいけないことになっています。
また、年次有給休暇を取得しないことを理由に、労働者を有利に取り扱うことも、年次有給休暇の取得意欲を削ぐことになるため、禁止となっています。
罰 則
使用者が、労働基準法で定める年次有給休暇の規定に違反した場合には、以下の罰則が科せられることがあります。
| 違反内容 | 罰則内容 |
|---|---|
| 年5日の年次有給休暇を取得させなかった場合 | 30万円以下の罰金 |
| 使用者による時季指定を行う場合において、就業規則に記載していない場合 | 30万円以下の罰金 |
| 労働者の請求する時季に所定の年次有給休暇を与えなかった場合 | 6か月以下の懲役 または30万円以下の罰金 |
お問い合わせ
年次有給休暇の取得に関するご質問・ご相談は、以下の行政機関等へお問い合わせください。
年次有給休暇に関するお問い合わせ先
| お問い合わせ内容 | お問い合わせ先 |
|---|---|
| 年次有給休暇の取得に関すること | 事業所を管轄する労働基準監督署 都道府県労働局 等 |
関連ページ
年次有給休暇の付与ルール
年次有給休暇の付与についてお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。
⇒ 年次有給休暇の付与ルール
年次有給休暇の出勤率の計算方法
年次有給休暇の出勤率の計算方法についてお知りになりたい方は、こちらのページをご覧ください。
⇒ 年次有給休暇の出勤率の計算方法
【参考資料】
・しっかりマスター労働基準法(有給休暇編)(東京労働局パンフレット)
・時間単位の年次有給休暇制度を導入しましょう!(厚生労働省パンフレット)
・年次有給休暇の計画的付与制度(厚生労働省パンフレット)
・年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説(厚生労働省パンフレット)
・年次有給休暇の時季指定義務(厚生労働省リーフレット)
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