求職者等セクハラの定義と
事業主の義務
- 0.1. 求職者等に対するセクシュアルハラスメントの定義
- 0.1.1. 1.求職者等とは?
- 0.1.2. 2.求職活動等とは?
- 0.1.3. 求職活動等の例
- 0.1.4. 3.性的な言動とは?
- 0.1.5. 性的な内容の発言及び性的な行動の例
- 0.2. 求職者等セクハラの例
- 0.3. 求職者等セクハラの判断の注意点
- 0.4. 事業主が講ずべき措置
- 0.4.1. 求職者等セクハラを防止するために事業主が講ずべき措置
- 0.4.2. 事業主の方針等の明確化および周知・啓発
- 0.4.3. 相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 0.4.4. 事後の迅速かつ適切な対応
- 0.4.5. 併せて講ずべき措置
- 0.4.6. 求職者等セクハラを防止するための望ましい取組み
- 0.4.7. その他の対策
- 0.4.8. 求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等への対応
- 0.4.9. 求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等とは?
求職者等に対するセクシュアルハラスメントの定義
男女雇用機会均等法では、求職活動等において行われる求職者等に対するセクシュアルハラスメント(求職者セクハラ)、以下のように定義しています。
求職者等に対するセクシュアルハラスメントの定義
求職者等に対するセクシュアルハラスメントとは、求職活動等において、事業主が雇用する労働者からの性的な言動により、当該求職者等の求職活動等が阻害されることをいいます。
上記定義を踏まえ、求職者等に対するセクシュアルハラスメントの要件をまとめると①~④の要素全てを満たす行為となります。
- 被害者が求職者等であること
- 求職活動等の際に行われたものであること
- 事業主が雇用する労働者からの性的な言動であること
- 求職者等の求職活動等が阻害されること
1.求職者等とは?
求職者(企業の求人に応募する方)もしくは求職者以外の方であって、以下の要件に該当する方
- 事業主の実施する労働者の採用に資する活動に参加する方
- 育実習、看護実習その他の実習を受ける方
なお、授業の一環としての社会科見学や企業を招いた講演会等の専ら教育を目的として行われるものに参加する方は含まれません。
2.求職活動等とは?
求職者が行う求職活動や求職者に類する方が行う職業の選択に資する活動を指し、以下のものが含まれます。また、SNS等のオンラインを介したものやオンライン上で行われるものも含まれます。
求職活動等の例
- 企業の採用面接への参加
- 企業の就職説明会への参加
- 企業の雇用する労働者への訪問
- インターンシップへの参加
- 教育実習、看護実習等の実習の受講
3.性的な言動とは?
性的な内容の発言及び性的な行動を指し、具体的には以下の内容が挙げられます。
性的な内容の発言及び性的な行動の例
性的な内容の発言の例
性的な事実関係を尋ねること、性的な内容の情報を意図的に流布すること 等
性的な行動の例
性的な関係を強要すること、必要なく身体に触れること、わいせつ図画を配布すること 等
求職者等セクハラの例
「求職者等に対するセクシュアルハラスメント」とは、求職活動等において行われる求職者等の意に反する性的な言動により、求職者等の求職活動等が阻害され、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等、当該求職者等が求職活動等を行う上で看過できない程度の支障が生じることであって、その状況は様々ですが、典型的な例として、次のようなものがあります。
求職者等に対するセクシュアルハラスメントの具体例
- 少人数の説明会において、労働者が求職者等の腰、胸等に触ったため、当該求職者等が苦痛に感じてその求職活動等の意欲が低下していること。
- 企業が実施するインターンシップにおいて、労働者が求職者等に対して性的な冗談やからかいを意図的かつ継続的に行ったため、当該求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
- 企業が実施するインターンシップにおいて、性的な内容を含むポスターの掲示や画面の表示等を行っているため、求職者等が苦痛に感じてインターンシップ中の活動が手につかないこと。
- 面接中、面接官を務める社員から性的な事実に関する質問を受け、求職者が苦痛に感じて求職活動の意欲が低下していること。
- 求職者等がOB・OG訪問を行った際、OB・OGから性的な関係を求められ、求職者等が苦痛に感じて求職活動等の意欲が低下していること。
- インターンシップ中に社員が求職者等を執拗に私的な食事に誘い、求職者等が苦痛に感じて求職活動等の意欲が低下していること。
求職者等セクハラの判断の注意点
求職者等に対するセクシュアルハラスメントは、異性に対するものだけではなく、同性に対するものも該当します。
また、被害を受ける者の性的指向やジェンダーアイデンティティにかかわらず、「性的な言動」であれば、求職者等に対するセクシュアルハラスメントに該当します。
事業主が講ずべき措置
令和7年に改正された男女雇用機会均等法において、求職者等に対するセクシュアルハラスメントについて、事業主に防止措置を講じることを義務付けています。併せて、事業主が行う求職者等からの相談への対応に協力したことを理由とする労働者に対する不利益取扱いも禁止されています。
男女雇用機会均等法
(求職活動等における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の措置等)
第13条 事業主は、求職者その他これに類する者として厚生労働省令で定めるもの(以下この項及び次項並びに次条において「求職者等」という。)によるその求職活動その他求職者等の職業の選択に資する活動(以下この項及び同条第一項において「求職活動等」という。)において行われる当該事業主が雇用する労働者による性的な言動により当該求職者等の求職活動等が阻害されることのないよう、当該求職者等からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない。
2 事業主は、労働者が事業主による求職者等からの前項の相談への対応に協力した際に事実を述べたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。
求職者等セクハラを防止するために事業主が講ずべき措置
職場における求職者等に対するセクシュアルハラスメントについて、事業主が必ず講じなければならない具体的な措置の内容は以下のとおりです。
事業主の方針等の明確化および周知・啓発
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメントの内容及び求職者等に対しセクシュアルハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメントを行った者については、厳正に対処する旨の方針及び対処の内容を就業規則等に規定し、管理監督者を含む労働者に周知・啓発すること
- 求職活動等に関するルールをあらかじめ明確化し、これを労働者及び求職者等に周知・啓発すること
相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
- 相談への対応のための窓口(以下「相談窓口」という。)をあらかじめ定め、求職者等に周知すること
- 相談窓口の担当者が、相談に対し、その内容や状況に応じ適切に対応できるようにすること
事後の迅速かつ適切な対応
- 事案に係る事実関係を迅速かつ正確に確認すること
- 求職者等に対するセクシュアルハラスメントが生じた事実を確認できた場合においては、速やかに被害者に対する配慮のための措置を適正に行うこと
- 再発防止に向けた措置を講ずること
併せて講ずべき措置
- 相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置を講ずるとともに、その旨を労働者及び求職者等に対して周知すること
- 労働者が事実関係の確認等の事業主の雇用管理上講ずべき措置に協力したこと、都道府県労働局に対して相談、紛争解決の援助の求め若しくは調停の申請を行ったこと又は調停の出頭の求めに応じたこと(以下「求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに関する事実関係の確認等」という。)を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされない旨を定め、労働者に周知・啓発すること
求職者等セクハラを防止するための望ましい取組み
厚生労働省の指針では、求職活動等におけるセクシュアルハラスメントを防止するため、上記事業主が講ずべき措置に加え、次の取組を行うことが望ましいとしています。
求職者等セクハラを防止するための望ましい取組み(努力義務)
- 大学や専門学校が設置する相談窓口の担当者等から求職活動等におけるセクシュアルハラスメントに係る相談に関する情報提供があった場合には、連携し、適切な対応を行うこと
- 事業主は、求職者等から、顧客等による求職者等に対するセクシュアルハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、必要に応じて適切な対応を行うように努めること
その他の対策
1.「公正な採用選考」に基づいた面接の実施
「公正な採用選考」とは、厚生労働省が事業主にお願いしている採用選考の在り方のことをいいます。
この「公正な採用選考」の考え方である「応募者の基本的人権の尊重」「適性・能力の基づいた採用基準」に沿って面接等を行うことは、求職者等セクハラ防止対策にもつながります。
2.リクルーターの行動指針やマニュアル策定
求職者等セクハラは、社員がリクルーターとして活動するOB・OG訪問や面談時に起こりやすいことがわかっています。その対策として、リクルーターの行動指針やマニュアル、ガイドブックの策定・活用、リクルーターへの研修が有効となります。
3.応募者の個人情報の限定利用
面接官等に対し、求職者等の個人情報を一部非公開にして、個人情報が悪用されるのを防止するなどの対策を取り入れることも、求職者等セクハラを発生させない状況をつくることに役立ちます。
求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等への対応
求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等とは?
求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等とは、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為、求職活動等における妊娠・出産等に関するハラスメントに類する行為、求職活動等における育児休業等に関するハラスメントに類する行為全般のことをいいます。
求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等に関し、以下の取組みを行うことが望ましいとされています。
求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等への対応(努力義務)
- 求職者等セクハラについて、事業主の方針等の明確化及びその周知・啓発を行う際に、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等についても、同様の方針を併せて示すこと
- 求職者等から、求職活動等におけるパワーハラスメントに類する行為等に関すると考えられる相談があった場合には、必要に応じて適切な対応を行うように努めること
- 求職者等から、求職活動等におけるカスタマーハラスメントに類すると考えられる相談があった場合には、必要に応じて適切な対応を行うように努めること
【参考資料】
・求職者等セクシュアルハラスメントリーフレット(厚生労働省)
・求職者等に対するセクシュアルハラスメント防止指針(厚生労働省)
・ハラスメント対策の総合情報サイト あかるい職場応援団(厚生労働省)
お気軽にお問い合わせください。047-707-3501営業時間 9:00 - 18:00 [ 土日・祝日除く ]
お問い合わせ