従業員が労災で亡くなられたときの手続き

【遺族(補償)等給付
支給請求】

給付概要

遺族(補償)等給付とは?

労災により亡くなられた従業員のご遺族を経済的に支援するための労災保険制度で、従業員が労災で亡くなられた場合に、一定の要件に該当するご遺族に対して支給されます。

遺族(補償)等給付の種類

遺族(補償)等給付には遺族(補償)等年金と遺族(補償)等一時金の2種類があります。遺族(補償)等年金は下記に記載している一定の要件を満たした場合に支給されます。また、遺族(補償)等一時金は遺族(補償)等年金を受ける遺族がいない場合等に支給されます。

請求方法

遺族(補償)等給付の支給要件に該当したときは、以下の請求書を作成し、事業所を管轄する労働基準監督署に提出します。

【遺族(補償)等年金の要件に該当したとき】
(業務災害の場合) 遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書(様式第12号)
(通勤災害の場合) 遺族年金支給請求書(様式第16号の8)

【遺族(補償)等一時金の要件に該当したとき】
(業務災害の場合) 遺族補償一時金・複数事業労働者遺族一時金支給請求書(様式第15号)
(通勤災害の場合) 遺族一時金支給請求書(様式第16号の9)

その他、添付書類として死亡診断書や戸籍謄本などが必要になります。
なお、業務外の事由により従業員が亡くなられた場合は、厚生年金保険の対象になりますので、ご注意ください。

支給要件・受給資格者

遺族(補償)等年金

遺族(補償)等年金は被災労働者のご遺族が以下の2つの要件をすべて満たしたときに支給されます。

遺族(補償)等年金
支給要件
 ① 被災労働者の死亡当時その収入によって生計を維持していたこと
 ② 被災労働者の配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹であること
  ただし、妻以外のご遺族については、一定の年齢または一定の障害の状態にあること
【受給権者の順位】

① 妻 または 夫(60歳以上か一定の障害がある場合)
② 子(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定の障害がある場合)
③ 父母(60歳以上か一定の障害がある場合)
④ 孫(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定の障害がある場合)
⑤ 祖父母(60歳以上か一定の障害がある場合)
⑥ 兄弟姉妹(18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか一定の障害がある場合)
⑦ 55歳以上60歳未満の夫
⑧ 55歳以上60歳未満の父母
⑨ 55歳以上60歳未満の祖父母
⑩ 55歳以上60歳未満の兄弟姉妹

※一定の障害とは、障害等級5級以上の身体障害のことをいいます。
※⑦~⑩の夫、父母、祖父母、兄弟姉妹は受給権者となっても、60歳になるまでは年金の支給は停止されます。

遺族(補償)等一時金

遺族(補償)等一時金は被災労働者のご遺族が以下のいずれかに該当した場合に支給されます。

遺族(補償)等一時金
支給要件
 被災労働者の死亡当時、遺族(補償)等年金を受けるご遺族がいない場合
 遺族(補償)等年金の受給権者が最後順位者まですべて失権したとき、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額および遺族(補償)等年金前払一時金の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合
【受給権者の順位】

① 配偶者
② 労働者の死亡の当時その収入によって生計を維持していた子・父母・孫・祖父母
③ その他の子・父母・孫・祖父母
④ 兄弟姉妹

支給額

遺族(補償)等年金

遺族数などに応じて、以下の遺族(補償)等年金が支給されます。また遺族(補償)等年金に加え、社会復帰促進等事業として遺族特別支給金、遺族特別年金が併せて支給されます。

なお、受給権者が2人以上いるときは、その額を等分した額がそれぞれの受給権者が受け取る額となります。

遺族数遺族(補償)等年金遺族特別支給金遺族特別年金
1人給付基礎日額の153日分※1300万円算定基礎日額の153日分※2
2人給付基礎日額の201日分算定基礎日額の201日分
3人給付基礎日額の223日分算定基礎日額の223日分
4人以上給付基礎日額の245日分算定基礎日額の245日分

※1ご遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は給付基礎日額の175日分
※2ご遺族が55歳以上の妻または一定の障害状態にある妻の場合は算定基礎日額の175日分

【給付基礎日額】

「給付基礎日額」とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額になります。平均賃金とは、労災によって死亡の原因となった事故または疾病の発生が確定した日の直前3か月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額を、その期間の暦日数で割った額のことをいいます。

給付基礎日額 = 直前3か月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額 ÷ その期間の暦日数

【算定基礎日額】

「算定基礎日額」とは、労災によって死亡の原因となった事故または疾病の発生が確定した日の以前1年間に支払われた特別給与(賞与)の総額を、365で割った額のことをいいます。

算定基礎日額 = 直前1年間に支払われた特別給与(賞与)の総額 ÷ 365日

遺族(補償)等一時金

被災労働者の死亡当時、遺族(補償)等年金を受けるご遺族がいない場合、遺族(補償)等一時金が支給されます。また遺族(補償)等一時金に加え、社会復帰促進等事業として遺族特別支給金、遺族特別一時金が併せて支給されます。

遺族(補償)等一時金遺族特別支給金遺族特別一時金
給付基礎日額の1,000日分300万円算定基礎日額の1,000日分

遺族(補償)等年金の受給権者が最後順位者まですべて失権したとき、受給権者であった遺族の全員に対して支払われた年金の額および遺族(補償)等年金前払一時金の合計額が、給付基礎日額の1,000日分に満たない場合は以下の遺族(補償)等一時金が支給されます。

遺族(補償)等一時金遺族特別一時金
給付基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族(補償)等年金等の合計額を差し引いた額算定基礎日額の1,000日分から、すでに支給された遺族特別年金の合計額を差し引いた額

※遺族特別支給金は、遺族(補償)等年金受給時に支払われているため、支給はありません。

前払い制度

遺族(補償)等年金前払一時金とは?

遺族(補償)等年金を受給することとなったご遺族が、一回に限り、年金の前払いを受けることができる制度です。若年停止により年金の支給が停止されている場合でも、前払いを受けることができます。

この遺族(補償)等年金前払一時金をご遺族が受給するためには、事業所を管轄する労働基準監督署に対し、遺族(補償)等年金前払一時金の請求をする必要があります。

なお、この遺族(補償)等年金前払一時金の請求は遺族(補償)等年金の支給請求と同時、または遺族(補償)等年金の支給決定の通知のあった日の翌日から1年以内にしなければいけません。

支給額

以下の中から希望する金額を選択することができます。なお、前払一時金が支給されると遺族(補償)等年金は、各月分の合計額が前払一時金の額に達するまでの間、支給停止されます。

遺族(補償)等年金前払一時金
給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分の中から選択

提出書類と提出先

遺族(補償)等給付の支給請求は、事業所を管轄する労働基準監督署に、下記の支給請求書を提出することにより行います。

遺族(補償)年金を支給請求する場合

提出先提出書類
労働基準監督署(業務災害により支給請求する場合)
遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金支給請求書(様式第12号)
【添付書類】
 ケースにより必要書類が異なるため、別途当事務所よりご案内致します。
(通勤災害により支給請求する場合)
遺族年金支給請求書(様式第16号の8)
【添付書類】
 ケースにより必要書類が異なるため、別途当事務所よりご案内致します。

遺族(補償)一時金を支給請求する場合

提出先提出書類
労働基準監督署(業務災害により支給請求する場合)
遺族補償一時金・複数事業労働者遺族一時金支給請求書(様式第15号)
【添付書類】
  ケースにより必要書類が異なるため、別途当事務所よりご案内致します。
(通勤災害により支給請求する場合)
遺族一時金支給請求書(様式第16号の9)
【添付書類】
 ケースにより必要書類が異なるため、別途当事務所よりご案内致します。

遺族(補償)等年金前払一時金を支給請求する場合

提出先提出書類
労働基準監督署(遺族(補償)等年金前払一時金を支給請求する場合)
遺族補償年金・複数事業労働者遺族年金・遺族年金前払一時金請求書(年金申請様式第1号)
【添付書類】
 原則、必要ありません。

関連手続き

従業員が労災で亡くなられた場合

労災保険から葬祭料等(葬祭給付)が支給されます。 ⇒ 葬祭料等(葬祭給付)請求

従業員が業務災害が原因で亡くなられた場合

「労働者死傷病報告書」を用い、労働基準監督署へその旨を報告しなければいけません。 ⇒ 労働者死傷病報告

労災保険の給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合

労働基準監督署へ「第三者行為災害届」の提出が必要になります。 ⇒ 第三者行為災害届

社会保険に加入している従業員が亡くなられた場合

社会保険および雇用保険の被保険者が亡くなられた場合、被保険者の資格喪失手続きを行います。 ⇒ 被保険者資格喪失届

手続き料金

当事務所で遺族(補償)等給付の請求と関連手続きを行った場合の料金になります。

手続き名料 金
遺族(補償)等年金支給請求\33,000
遺族(補償)等一時金支給請求\33,000
遺族(補償)等年金前払一時金請求\22,000
葬祭料(葬祭給付)請求\11,000
労働者死傷病報告\5,500
第三者行為災害届\33,000
被保険者資格喪失届各\5,500

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