従業員が労災で障害が
残ったときの手続き
【障害(補償)等給付
支給請求】
給付概要
障害(補償)等給付とは?
労災で身体に障害が残った被災労働者を経済的に支援するための労災保険制度で、従業員が業務または通勤を原因とする傷病で、身体に一定の障害が残った場合に支給されます。
障害(補償)等給付の種類
障害(補償)等給付には障害(補償)等年金と障害(補償)等一時金があります。残存障害が、障害等級表に掲げる障害等級第1級から第7級に該当するときは障害(補償)等年金が支給され、障害等級第8級から第14級に該当するときは障害(補償)等一時金が支給されます。
その他、障害(補償)等年金を一時金として前払いで受給できる障害(補償)等年金前払一時金制度や、障害(補償)等年金の受給権者が死亡したときに、ご遺族に対し支給される障害(補償)等年金差額一時金制度などがあります。
請求方法
障害(補償)等給付の支給要件に該当したときは、以下の請求書を作成し、事業所を管轄する労働基準監督署を提出します。
(業務災害の場合) 障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書(様式第10号)
(通勤災害の場合) 障害給付支給請求書(様式第16号の7)
その他、添付書類として診断書や労働基準監督署が求める書類が必要になります。
支給要件
障害(補償)等給付は被災労働者が以下の2つの要件をすべて満たしたときに支給されます。
障害(補償)等給付 支給要件 |
---|
① 労災が原因の傷病が治ったときに、身体に一定の障害が残っているとき |
② 被災労働者の残存障害が障害等級表に掲げる障害等級に該当するとき |
支給額
障害(補償)等年金
残存障害が障害等級表に掲げる障害等級第1級から第7級に該当するときは、障害(補償)等年金が支給されます。また障害(補償)等年金に加え、社会復帰促進等事業として障害特別支給金、障害特別年金が併せて支給されます。
障害等級 | 障害(補償)等年金 | 障害特別支給金 | 障害特別年金 |
---|---|---|---|
第1級 | 給付基礎日額の313日分 | 342万円 | 算定基礎日額の313日分 |
第2級 | 給付基礎日額の277日分 | 320万円 | 算定基礎日額の277日分 |
第3級 | 給付基礎日額の245日分 | 300万円 | 算定基礎日額の245日分 |
第4級 | 給付基礎日額の213日分 | 264万円 | 算定基礎日額の213日分 |
第5級 | 給付基礎日額の184日分 | 225万円 | 算定基礎日額の184日分 |
第6級 | 給付基礎日額の156日分 | 192万円 | 算定基礎日額の156日分 |
第7級 | 給付基礎日額の131日分 | 159万円 | 算定基礎日額の131日分 |
【給付基礎日額】
「給付基礎日額」とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額になります。平均賃金とは、労災によって死亡の原因となった事故または疾病の発生が確定した日の直前3か月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額を、その期間の暦日数で割った額のことをいいます。
給付基礎日額 = 直前3か月間に支払われた賃金(賞与等を除く)の総額 ÷ その期間の暦日数
【算定基礎日額】
「算定基礎日額」とは、労災によって死亡の原因となった事故または疾病の発生が確定した日の以前1年間に支払われた特別給与(賞与)の総額を、365で割った額のことをいいます。
算定基礎日額 = 直前1年間に支払われた特別給与(賞与)の総額 ÷ 365日
障害(補償)等一時金
残存障害が障害等級表に掲げる障害等級第8級から第14級に該当するときは、障害(補償)等一時金が支給されます。また障害(補償)等一時金に加え、社会復帰促進等事業として障害特別支給金、障害特別一時金が併せて支給されます。
障害等級 | 障害(補償)等一時金 | 障害特別支給金 | 障害特別一時金 |
---|---|---|---|
第8級 | 給付基礎日額の503日分 | 65万円 | 算定基礎日額の503日分 |
第9級 | 給付基礎日額の391日分 | 50万円 | 算定基礎日額の391日分 |
第10級 | 給付基礎日額の302日分 | 39万円 | 算定基礎日額の302日分 |
第11級 | 給付基礎日額の223日分 | 29万円 | 算定基礎日額の223日分 |
第12級 | 給付基礎日額の156日分 | 20万円 | 算定基礎日額の156日分 |
第13級 | 給付基礎日額の101日分 | 14万円 | 算定基礎日額の101日分 |
第14級 | 給付基礎日額の56日分 | 8万円 | 算定基礎日額の56日分 |
前払い制度
障害(補償)等年金前払一時金とは?
障害(補償)等年金を受給することとなった方が、一回に限り、年金の前払いを受けることができる制度です。
この障害(補償)等年金前払一時金を被災労働者が受給するためには、事業所を管轄する労働基準監督署に対し、障害(補償)等年金前払一時金の請求をする必要があります。
なお、この障害(補償)等年金前払一時金の請求は障害(補償)等年金の支給請求と同時、または障害(補償)等年金の支給決定の通知のあった日の翌日から1年以内にしなければいけません。
支給額
以下の中から希望する金額を選択することができます。なお、前払一時金が支給されると障害(補償)等年金は、各月分の合計額が前払一時金の額に達するまでの間、支給停止されます。
障害等級 | 障害(補償)等年金前払一時金 |
---|---|
第1級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分、1,200日分、1,340日分 |
第2級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分、1,190日分 |
第3級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、1,000日分、1,050日分 |
第4級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、800日分、920日分 |
第5級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、790日分 |
第6級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、600日分、670日分 |
第7級 | 給付基礎日額の200日分、400日分、560日分 |
障害(補償)等年金の受給権者が亡くなられたとき
障害(補償)等年金差額一時金とは?
障害(補償)等年金の受給権者が死亡したとき、既に支給された障害(補償)等年金と障害(補償)等年金前払一時金の合計額が、障害等級に応じて定められている一定額に満たない場合に、ご遺族に対して支給される一時金です。
この障害(補償)等年金差額一時金をご遺族が受給するためには、事業所を管轄する労働基準監督署に対し、障害(補償)等年金差額一時金の支給請求をする必要があります。
【受給権者の順位】
① 労働者の死亡当時、生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
② ①に該当しない配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹
支給額
障害等級に応じて定められている下記の一定額から既に支給された障害(補償)等年金と障害(補償)等年金前払一時金の合計額を差し引いた額が支給されます。
障害等級 | 障害(補償)等年金差額一時金 | 障害特別年金差額一時金 |
---|---|---|
第1級 | 給付基礎日額の1,340日分 | 算定基礎日額の1,340日分 |
第2級 | 給付基礎日額の1,190日分 | 算定基礎日額の1,190日分 |
第3級 | 給付基礎日額の1,050日分 | 算定基礎日額の1,050日分 |
第4級 | 給付基礎日額の920日分 | 算定基礎日額の920日分 |
第5級 | 給付基礎日額の790日分 | 算定基礎日額の790日分 |
第6級 | 給付基礎日額の670日分 | 算定基礎日額の670日分 |
第7級 | 給付基礎日額の560日分 | 算定基礎日額の560日分 |
提出書類と提出先
障害(補償)等給付の支給請求は、事業所を管轄する労働基準監督署に、下記の支給請求書を提出することにより行います。
障害(補償)等給付を支給請求する場合
提出先 | 提出書類 |
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労働基準監督署 | (業務災害により支給請求する場合) 障害補償給付・複数事業労働者障害給付支給請求書(様式第10号) 【添付書類】 診断書、その他労働基準監督署が求める書類 |
(通勤災害により支給請求する場合) 障害給付支給請求書(様式第16号の7) 【添付書類】 診断書、その他労働基準監督署が求める書類 |
【提出期限】傷病が治癒した日の翌日から5年以内
障害(補償)等年金前払一時金を請求する場合
提出先 | 提出書類 |
---|---|
労働基準監督署 | 障害補償年金・複数事業労働者障害年金・障害年金前払一時金請求書(年金申請様式第10号) 【添付書類】 原則、必要ありません。 |
【提出期限】傷病が治癒した日の翌日から2年以内
障害(補償)等年金差額一時金を支給請求する場合
提出先 | 提出書類 |
---|---|
労働基準監督署 | 障害補償年金差額一時金・複数事業労働者障害年金差額一時金・障害年金差額一時金支給請求書(様式第37号) 【添付書類】 戸籍謄本または抄本等の請求人と労働者との身分関係を証明することができる書類 |
【提出期限】被災労働者の死亡した日の翌日から5年以内
関連手続き
従業員が労災で病院に掛かる場合
従業員が【労災指定病院等】で治療を受けた場合 ⇒ 療養の給付請求
従業員が【労災指定病院以外】で治療を受けた場合 ⇒ 療養の費用請求
従業員が労災で4日以上仕事を休んだ場合
給与を受けていない場合は、労災保険から休業(補償)給付として1日につき給付基礎日額(※)の80%が支給されます。この支給を受けるためには労働基準監督署へ休業(補償)給付の請求をする必要があります。 ⇒ 休業(補償)給付の請求
※給付基礎日額…原因となった事故直前の3か月分の賃金を暦日数で割った額
従業員が業務上の傷病で休業または死亡した場合
「労働者死傷病報告書」を用い、労働基準監督署へその旨を報告しなければいけません。 ⇒ 労働者死傷病報告
労災保険の給付の原因である事故が第三者の行為によって生じた場合
労働基準監督署へ「第三者行為災害届」の提出が必要になります。 ⇒ 第三者行為災害届
手続き料金
当事務所で障害(補償)等給付の請求と関連手続きを行った場合の料金になります。
従業員が労働災害で身体に一定の障害が残ったときの手続き
手続き名 | 料 金 | |
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障害(補償)等年金支給請求 | \33,000 | |
障害(補償)等一時金支給請求 | \33,000 | |
障害(補償)等年金前払一時金請求 | \11,000 | |
障害(補償)等年金差額一時金支給請求 | \11,000 |
従業員が身体に一定の障害が残ったときの手続き
手続き名 | 料 金 | |
---|---|---|
障害年金請求 | \33,000~ |
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